B25

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第2次世界大戦前のドイツにて、工業デザインに大きな影響をあたえた芸術学校バウハウス。そこから幾星霜、1972年、当時の西ドイツで発足したTECTAはハウハウスの流れを汲み、その世界観の復刻や再現に大きく注力している。ここでは、そんなTECTAが発表している作品群の中から、B25の魅力や特徴などをご紹介したい。

B25

人間の背骨の形状に合わせて緩やかな曲線を持たせたハイバックタイプの背もたれと、バウハウスによって考案されたカンティレバー構造を組み合わせているのが特色。手掛けたのは、バウハウスの復刻や再現に注力していることで知られるドイツのTECTA。初めて発表されたのは1976年のこと。

B25の特徴

バウハウス由来のカンティレバー構造を再現

このB25の外観的特徴は何と言っても、一般的な椅子のような4本脚、あるいは3本脚ではなく、チューブ状のパイプ素材に曲げ加工を施し、前部から延びる2本の脚で椅子全体を支えるという、斬新かつユニークな構造となっていることだ。これこそが、かのバウハウスによって考案されたカンティレバー構造。TECTAは元来よりバウハウスの影響を強く受け、その復刻や再現に力を入れていることで知られるが、このB25はまさに、そうしたTECTAの姿勢や方針を具現化したものと言えるだろう。

座り心地の上質さも、見逃せないポイント

B25はシンプルでスマートなフォルムの美しさという点につい目がいきがちだが、真骨頂はそうしたデザインのなかに、上質な座り心地が備えられていることである。それこそ、デザインはよいが肝心の椅子としての座り心地が良くないという本末転倒な事例は少なくない。その点、B25は前述のカンティレバー構造に加え、シートには籐のような表情を持つプラスチックコードを使用。座ると、椅子全体が「しなる」ようになっており、優れたクッション性を発揮するという工夫がなされている。

B25の歴史

B25の製作年は1976年。バウハウスの再現を目的に、東ドイツから西ドイツに亡命したアクセル・ブロッホイザーがTECTAを立ち上げてから4年後のこと。バウハウス由来のカンティレバー構造を用いながら、シンプルな佇まいのなかに確かな品質を保持しているというのは、東ドイツ時代の屈辱をバネに、全身全霊を込めて造り上げたものと推察される。

TECTAについて

創業者であるアクセル・ブロッホイザーがTECTAを設立したのは1972年のこと。同社の大きな特色となっているのが、見た目の美しさと確かな機能美を融合させた、モダンデザインスタイルであり、源流となっているのは、第二次世界大戦前のドイツにて一世を風靡した総合芸術の教育機関であるバウハウスである。現代建築やインテリアデザイン、家具デザインに大きな影響をもたらしたことで知られており、TECTAはそんなバウハウスのスタイルを再現・復刻することに大きく注力していることで知られている。

TECTAのブランドストーリー

TECTAを立ち上げる以前、創業者のブロッホイザーは父親とともに故郷の旧東ドイツで家具工場を営んでいたものの、バウハウスの合理主義・機能主義に傾倒していたことで当時の東ドイツ当局から危険視され、営んでいた各工場を没収されるという屈辱を味わうことになった。そんなブロッホイザーが西ドイツに亡命し、自らの理想や理念を具現化しようと設立したのが他ならぬTECTAなのである。TECTAが手掛ける製品は、そうした強い信念や信条から生み出されているのだ。

他の“名作椅子”も見るなら…

TECTAが手掛けてきた名作椅子の中から、B25の魅力をご紹介した。同社が多大なリスペクトを寄せるバウハウス由来のカンティレバー構造を採用した上で、独自の工夫も施されているというのに唸らされる。

さて、世界の高級家具に目を向けてみると、B25と同様に、名作家具として広く評価を集めている椅子やスツールは、他にもまだ存在する。以下のページにて、それら名作椅子を一覧でご紹介しているので、関心のある方は引き続きお読みいただきたい。