現在ADELTAにより復刻が行われているBall Chairを紹介していく。「名作」と呼ばれるこの椅子の特徴や製品の歴史、またブランドの歴史などについて見ていきたい。
1963年、フィンランドのデザイナーであるエーロ・アールニオによりデザインされた名作椅子Ball Chair。その斬新なデザインと高い機能性により、世界中を驚かせ、愛され続けている名作椅子となっている。
Ball Chairは、1963年にデザインされた椅子。この椅子をデザインしたのはフィンランドのデザイナーであるエーロ・アールニオだ。
この椅子の特徴は、その名の通り「ボール」をイメージして作られた非常にシンプルな形状。そして、球体の一部を切り取って椅子のベースとして取り付けるといった、これまでにはなかった印象的なデザインとなっている。
さらにBall Chairに座ると実感できるのが、「部屋の中にあるもうひとつの部屋」となってくれる椅子であるという点。外からの音を遮断してくれるので、部屋の中にいながら小さなプライベート空間を演出してくれる。この椅子に座ることで落ち着きのある自分だけの空間を手に入れられるだろう。
Ball Chairを手がけたエーロ・アールニオが、この椅子のデザインに取り組んだのは1962年のこと。プライウッドの鋳型とFRPを使うことによって試作品を作っていたところ、Asko(アスコ)のプロダクトマネージャーがこの椅子を目にする。その時、今までに見たことがないデザインに驚いたことで、自社での製品化に取り組んだ、という歴史があるとされている。
実際にBall Chairを製品化するまでには長い年月がかかり、その後1966年に行われたケルン国際家具見本市で発表された。見本市でもさまざまな人を驚かせたといわれるこのBall Chairは、デザイナーであるエーロ・アールニオの名を一躍世に知らしめた。
その後Askoは1980年に活動停止したものの、1992年よりADELTA(アデルタ)が復刻を手がけている。
ボールチェアやバブルチェアを手がけたエーロ・アールニオなど限られたデザイナーの作品について、復刻生産を手がけているブランドだ。ここでは、ADELTAがどのようなブランドなのかを見ていくことにしよう。
ADELTAは、エリエール・サーリネンの作品復刻を目的として1989年に設立されたブランドだ。同社ではエーロ・アールニオの作品のような、プラスチック素材が使われている名作家具を復刻し、広めることに注力している点が特徴となっている。
同社は「偉大な芸術・偉大なアイディアは生き残る」を理念とし、たくさんの人の手に名作が行き渡ることを願っていた。本当に良いものを作り続ける中で、複雑であるがゆえに手作業でしか復刻できないような複製品についても、熟練職人が手がけることによって忠実に再生されている。
現在は、エーロ・アールニオ、エリエール・サーリネンなど、5名のデザイナーによる製品のみ制作を行っている。
こちらのページでは、長年愛され続けてきたBall Chair(ボールチェア)が持つ魅力や歴史を紹介してきた。その斬新なデザインと機能性が人々を驚かせ、長い間愛され続けている名作椅子である。
このように、世界には「名作」と呼ばれる椅子が多数存在する。以下のページでは、それらの名作椅子について一覧で紹介しているので、関心をお持ちの方はぜひチェックいただきたい。