シェイカーチェアJ39は、ボーエ・モーエンセンがF.D.Bの家具部門責任者だったときにデザインしたチェア。
師匠のコーア・クリントから「一般市民でも手に取りやすい価格で質の高い家具を」との要望を受けて作られた。
直線的なデザインでありながら、丸い木材を使ったチェアはどこかあたたかみが感じられる。
発表から60年以上経った今でも愛される名作チェアである。
美しい肘掛けのラインとその快適性から、数多くのビルエントランスに設置されている。
そもそもダブルクッションソファはボーエ・モーエンセンが「作った家具を確認するには、自分で実際に使用してみるのが一番」との考えをもとに、自宅で使用することを目的としたソファ。
1人掛けソファはクッションが全て外せるなど、デザイン性だけでなく利便性も追求されている。
1950年に開催された、コペンハーゲン家具職人ギルド展で発表されたテーブル。
カジュアルなデザインでありながら、美しい脚の曲線があたたかみを加えている。
支柱は真鍮とステンレススチールの2種類で、それぞれ全く違った顔を見せてくれる。
質のいいものを一般市民が手に取りやすい価格で提供し続けたボーエ・モーエンセンは、「庶民のデザイナー」として広く知られている人物。
デンマーク王立芸術アカデミーで学んだ後、デンマーク家具の父コーア・クリントのデザインや思想に深く系統していく。
しかしモーエンセンは、クリントの華やかな場所のための家具とは反対に庶民のための家具や量産しやすい家具に特化してデザインした。
1934年に家具職人の修業を終えたモーエンセンは家具デザインを学ぶのと同時に、コーア・クリント、モーエンス・コッホのデザインスタジオに勤務。
その後FDBの家具部問のチーフデザイナーに任命されてからは、現代でも愛される家具を次々と世に出していった。
さまざまなデザイン要素を取り込んだ普遍的なデザイン
ボーエ・モーエンセンはさまざまなデザインからインスピレーションを受けた。
異国文化、エスニックアート、日本の彫り物細工などモーエンセンが影響を受けた芸術作品は多岐に渡る。
そのデザイン知識とインスピレーションを活かし、シンプルながらも美しく近代的な家具を多数デザインしている。
直線のなかにあたたかみのある曲線があり、野生的ななかにやわらかさがあるなど、一見相反するイメージが共存するモーエンセンの家具。
いつ見ても美しく使い心地がいいモーエンセンの家具は、普遍的なデザインと言えるだろう。