こちらの記事では、「木を鍛える」「木を愛する」「木を導く」をコンセプトとした美しい家具を世に送り出すTENDO(天童木工)が手がける名作椅子「バタフライスツール」が持つ魅力や特徴をご紹介する。
バタフライ・スツールは日本のインダストリアルデザインの確立と発展に力を注いだ柳宗理によりデザインされ、TENDO(天童木工)から発表された名作椅子。その美しくシンプルな曲線は、見るものを魅了してやまない。
TENDO(天童木工)の「バタフライスツール」は、戦後の日本を代表する名作椅子として知られている。デザインを担当したのは、日本のプロダクトデザイナーとして名を知られている柳宗理だ。
この作品の特徴は、「バタフライ」という名前からイメージするように蝶が羽を広げて羽ばたいているかのような形状だ。その見た目が「バタフライスツール」という作品名の由来となったといわれているが、制作現場の職人たちが使っていた呼び名が作品名となった、という話もある。
バタフライスツールは1954年に柳 宗理がデザインし、天童木工から発表されたスツール。シンプルかつ独特な形状が特徴だ。
成形合板技術に興味を持った柳宗理が、成形合板の生みの親でもあるチャールズ・イームズの元を訪れてレッグスプリントの存在を知ったことが、このスツールが生み出されたきっかけとなったといわれる。その後日本に帰国した柳宗理は、チャールズ・イームズの元で見た成形合板でどのようなものが作れるか試行錯誤した結果、このバタフライスツールのデザインに辿り着いたとされている。
バタフライスツールは非常にシンプルで美しいデザインが大きな特徴だが、このデザインが完成したのは天童木工の木工技術があったからこそ。このデザインは日本のみならず世界でも認められる作品となっており、現在はニューヨーク近代美術館やパリのルーブル美術館でコレクションされている。
TENDO(天童木工)は、木製家具の製造に力を入れていることで知られているブランドだ。それぞれの木が持っている重さや木目、色目、強度といったさまざまな特性を理解した上で家具を提供している。
例えば、ウォールナットやローズウッド、オークなど、厳選した木材を世界中から仕入れて家具を作ることによって、ひとりひとりのオーナーが自身の家に合ったものを選んでもらえるように取り組んでいる。
TENDO(天童木工)は、1940年、山形県天童市に設立された。もともと山形県天童市は木工業が盛んな地域であり、そこで大工と建具、指物の業者によって結成された家具工業組合が天童木工の前身となっている。このような地域で生まれたTENDOは、新しい技術としての成形合板に着目し、新しいデザインに取り組むデザイナーと一緒に技術開発を進めていった。
技術革新を経て同社が生み出した美しい曲線は、日本のデザイナーはもちろん、海外のデザイナーをも魅了している。この記事で紹介したバタフライ・スツールを生み出した柳宗理のほか、乾三郎や剣持勇、磯崎新、水之江忠臣、豊口克平、菅沢光政など数々の巨匠がTENDOのデザインを手がけている。
TENDO(天童木工)が手がけてきた家具から、美しい椅子「バタフライスツール」を紹介した。そのシンプルで美しい形状は、日本だけではなく世界中の人々を魅了している。
さて、世界にはこのバタフライ・スツールのほかにもたくさんの名作家具がある。以下のページにて名作椅子を多数ご紹介しているので、興味のある方はぜひ確認していただきたい。