時代を経てなお、世界中の人々から支持・評価され、ロングセラーを続けているイームズのプライウッドチェア。モダンファニチャーの基礎といわれている一脚だ。
発表当時としては、時代を先取りしたような斬新なデザインが注目を集めた。しかし、長きにわたって人々を魅了するのは、デザイン性の高さだけではない。人の体にフィットするよう、細部まで計算しつくされた曲線が生み出す快適性がその理由であろう。プライウッドチェアは、イームズの合板成型へのたゆまぬ追求心が詰まった一脚とも言える。
無機物であるワイヤーで作られているにもかかわらず、どこか有機的な温かみを感じるイームズのワイヤーチェア。その形から、「エッフェル塔」という愛称でも親しまれている一脚だ。同じくイームズの代表作であるシェルサイドチェアをベースにした曲線デザインが特徴で、硬質な素材でも高い快適性を実現。生活空間での使いやすさを第一に考え、強度、軽量化を追求した。現状に甘んじることなく、次々と新しい素材を発掘していったイームズの探求心が感じられる。
ポップで近未来的なミッドセンチュリーを代表する一脚といわれるイームズのシェルサイドチェア。プラスチック製の椅子としては、初めて大量生産され、発表当時から多くの人々に愛されてきた。そのスタイリッシュなデザインは、今なお世界中で人気を集めている。「最大多数の人々に最高のものを、最低価格で提供する」というイームズの信念が生み出したシェルサイドチェアは、イームズの代名詞ともいえるだろう。
チャールズ・イームズは、ミッドセンチュリーを代表するデザイナーであり、1907年にアメリカのセントルイスで生まれた。
セントルイス・ワシントン大学の建築学科に入学するも、彼のあまりにも斬新で挑戦的な資質ゆえに、大学での学びに馴染めず退学。仲間とともに建築事務所を立ち上げた。クランブルック美術学院インダストリアル学科の教授として教壇に立った経歴もある。
1940年代からは、妻のレイ・イームズとともに、素材としての木材の研究に没頭。合板の成型装置を発明し、ミッドセンチュリーに欠かせない素材である成型合板の技術を発展させた。
チャールズ・イームズは妻のレイ・イームズとともに、常に新しい素材を探求し続けた。合板だけでなく、プラスチック、ワイヤー、繊維強化プラスチックなど、あらゆる素材への遊び心あふれる柔軟なアプローチが、今日まで愛され続けている数々のイームズチェアを生み出したのだ。
また、イームズの代名詞であるミッドセンチュリーには、ポップで近未来的なデザイン性だけでなく、使う人の目線を重視した機能性も備わっている。コストパフォーマンス、快適性、扱いやすさなど、日々の暮らしの中に馴染むこれらの性能が、時代を超えたロングセラーの理由なのだろう。