TECTAにより提供されているBauhaus Folding chair(D4)を紹介しよう。この椅子が持つ特徴や歴史、またTECTAの歴史などについてまとめた。
数々の名作を生み出してきたデザイナーのマルセル・ブロイヤーによりデザインされた名作椅子。モダニズムデザインの先駆け的存在となったワシリーチェアに折りたたみの機能を追加している点が特徴だ。
Bauhaus Folding chair(D4)は、ハンガリーのデザイナーであるマルセル・ブロイヤーによりデザインされた椅子。この椅子の特徴は、マルセル・ブロイヤーの代表作である「ワシリーチェア」を折りたたみができる形に改良したという点。脚部のフォルムに特徴があるが、それ以外はワシリーチェアと非常に似たデザインとなっている。
構造は非常にシンプルだが、スチールパイプに張られた張り地の美しさが印象的だ。
ラウンジチェアとして使用される椅子は、一般的にはボリュームのあるボディで快適性を重視したデザインが多くなっている。しかし、このBauhaus Folding chair(D4)はボリュームを排除し、シャープでシンプルなデザインとなっている点がポイントだ。さらに、折りたたみができることによってどこにでも持ち運びができる。
TECTA(テクタ)のBauhaus Folding chair(D4)は、1927年にデザインされた椅子。この椅子は、ファイセンホーフの住宅展の際に公式発表されたという歴史を持っている。
この椅子は、もともとはスタンダード・メーベルで「B4」として製造されていたものの、同社がTOHNET(トーネット)と合併したことにより生産が中止された。この間の生産期間はわずか5年。しかし、現在ではTECTAが正規ライセンスにより復刻しているとともに、リプロダクト品も生産されている。
TECTA(テクタ)は、バウハウスの名作を復刻する、という取り組みを続けてきたブランド。そのため、カンチレバー構造を持つチェアのラインナップが多く持っているという点が特徴だ。ちなみにバウハウスとは、現代建築やインテリアデザイン、家具デザインにおけるドイツの芸術学校。活動期間は1919年から1933年とあまり長くはないものの、多くの建築家やデザイナーに大きな影響を与えている。
TECTAでも基本的にバウハウスの思想をコンセプトとしており、オリジナルの家具などもシンプルで機能美を追求された作品が多いことも同ブランドの特徴。ソファやアームチェア、テーブルなども直線や四角が基本となっている。
TECTAは、1972年に東ドイツ出身のアクセル・ブロッホイザーが立ち上げたブランド。その歴史の始まりは、創業者のアクセル・ブロッホイザーが、偶然ペーター・ケラーがデザインした家具スケッチを見たことがきっかけであるといわれている。
そのスケッチは、バウハウスの合理主義や機能主義が集約されたものとなってたことからブロッホイザーは衝撃を受け、作品を作ってみたいという思いを持ったとのこと。しかし当時東ドイツ政府はバウハウスを弾圧する傾向があったことからブロッホイザー親子も家具製造を行っていた工場を没収され、西ドイツへ逃れたのち、家具製作を再開。このようにして生まれたのが現在のTECTAとなっている。
繰り返しにはなるが、TECTAは設立以来バウハウスによる名作復刻に取り組んできたブランドだ。代表作としては、こちらのページで紹介しているD4のほか、ミース・ファン・デル・ローエが手がけたB42やRM10などがある。
こちらのページでは、Bauhaus Folding chair(D4)の魅力や歴史、そしてTECTAというブランドが持つ歴史などについてご紹介してきた。シャープなデザインと折りたたみ可能という機能的な構造が魅力なチェアといえる。
このように、世界には数多くの名作と呼ばれる椅子がある。以下のページでは、そういった名作椅子を紹介しているので、関心を持っている方はぜひチェックしてほしい。