友人・知人の邸宅に招かれ、リビングに通される。その時、最初に目をやる場所は、他でもないテーブルではないだろうか。
テーブルは、いわば家の顔である。テーブルが上質であれば、家に多少の難があろうとも、全体に上質感が漂う。逆に、テーブルに難があれば、家全体に暗い印象が漂うものだ。
ここでは、世界中でリリースされている数々のテーブルの中から、当サイトが「名作家具」として注目した作品を8点ほどご紹介したい。貴方のテーブル探しの一助となれば幸いである。
なお、ここにいう「名作家具」とは、「専門家・識者たちから客観的な評価を得た家具」を指すものとする。価格が高いからと言って「名作家具」とは限らない。見た目の美しさだけではなく、機能美もまた「名作家具」たる一要素となる。
当サイトが注目した「名作家具」たるテーブルは、次の通りである。実用性と芸術性を両立させた奇跡の作品群を見て欲しい。
工学院大学の鈴木敏彦教授(建築学科)がデザインした作品「JHF TABLE」。天板にアルミニハニカムを採用したシンプルかつ洗練された、世界最薄のテーブルである。「D&AD(Design & Art Direction) Awards 2020」(英国)において、グラファイト・ペンシル(銀賞に相当)を受賞。世界250名もの審査員から選ばれる権威あるアワードとして知られる。
社外デザイナーを積極的に起用することで知られる天童木工のダイニングテーブル。デザイナーは、昭和期に活躍した水之江忠臣である。木目の美しいナラ板目を天板に採用した、どこかノスタルジックな雰囲気漂う作品である。幅の異なる2種類のサイズを用意しているので、利用人数に合わせて選ぶと良い。1966年度グッドデザイン賞を受賞。
イタリアの老舗家具ブランド「テクノ社」がリリースしたノーマン・フォスター作のテーブル。世界的建築家として知られるノーマン・フォスターの建築思想が反映された、実に個性的で斬新な作品である。イタリアン・モダニズムの機能美を求める者にとって、いつまでも頭から離れない作品ではなかろうか。世界的権威のあるコンパッソ・ドーロ賞(イタリア)を受賞。
屋内でも屋外でも使用できる非常にシンプルな作品。無駄を省いたそのデザイン性ゆえ、逆に主張の強いアイテムとのバランスがよくマッチするデ―ブルである。たとえばチェアとの組み合わせ次第で、その空間は無限に変化するであろう。ベスト・アウトドアー・ファニチャー賞受賞(2004年)、オデルツォ・デザイン賞受賞(2005年)、コンパッソ・ドーロ賞ノミネート(2006年)。
日本の若手デザイナーとして活躍する「ノザイナー」氏によってリリースされた、シンプルなデザインのダイニングテーブル。徳島家具の伝統技法を応用し、いわゆる「三方留め」によって引き出しを収納している。引き出しのない外観美、引き出しのある機能美。両方の美しさを堪能できる奥深さが魅力の作品だ。2010年、グッドデザイン賞受賞。
ドイツで活躍する天才デザイナー、ユリアン・アッペリウスがリリースした作品。狭いスペースに重要のある多くのモノを載せられる機能性に加え、人の目を引く個性的なデザイン性が特徴のテーブルである。リビングや書斎であれば、ただ「置くだけ」でも十分なインテリアとして光る。2011年、インテリアイノベーション賞の「ベスト・オブ・ベスト賞」を受賞。
近年日本に頻発する突発的な自然災害。万が一の避難生活等も念頭に置いた、機能性重視のアウトドア兼用テーブルである。天板を金属メッシュとすることで、軽量化による持ち運びはもとより、耐熱・耐水性が向上。鍋敷き不要でダッチオーブンやスキレットなどを置くことも可能だ。ブランドは各種日用品で知られる「山善株式会社」。2016年、グッドデザイン賞受賞。
対照性とシンプル性を特徴とした無垢材のテーブル。無垢材ながらも重さを感じさせず、むしろ軽量でスリムな印象を持つ作品である。一見、強さに不安を感じさせるものの、ジグザグのジョイント設計を採用することで強さを担保。そのシンプル性と強靭性と特徴とするテーブルは、何十年と家系に伝えるにふさわしい。2011年、グッドデザイン賞受賞。