スツールとは、背もたれのない簡易的な椅子のこと。来客に備えた予備の椅子として、キッチンで調理する際の「ちょっと座り」の椅子として、あるいはベッドサイドに置く小さなテーブルとして。使う者の自由な発想で、いかようにでも使えるのがスツールの魅力である。壊れにくいという利点もあることから、家の象徴として末代までスツールを伝えることもできるだろう。
ここでは、世界中にある無数のスツールの中から、名作家具として名高い作品を8点ほどご紹介したい。ここに言う「名作家具」とは、家具の識者たちから客観的な評価を得たものとする。言い換えれば、過去に何らかの権威ある賞を獲得した家具。それを「名作家具」と定義したい。
世界的な賞を受賞した名作スツールはたくさんあるが、それらの中から、当サイトの目を釘付けにした8点の作品をご紹介したい。実用性あるスツールがこれほど美しくあっていいのだろうか。そう感じさせる名作ばかりである。
画像引用元:https://musetokyo.com/shopdetail/000000008018/
イタリア・ベネチアを拠点に高級家具を展開するHORM。無垢材を使ったモダンデザインをコンセプトに、ご紹介するスツールを始め、数々の名作家具を世に送り出してきた。2004年に歴史と権威あるデザイン賞「コンパッソ・ドーロ」を受賞した当作品は、5種類の無垢材の合板による美しいデザインが特徴。
画像引用元:https://www.artek.fi/jp/products/stool-60
フィンランドの著名建築家、アルヴァ・アアルトが1933年にデザインした名作スツール。名門ブランド・artekを象徴するデザインの一つとされるほど、世界的に評価の高い作品である。椅子やサイドテーブルとしてはもちろん、昨今ではディスプレイ台としても人気だ。2019年、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。
画像引用元:https://www.kokuyo-furniture.co.jp/products/office/brandcollection/magis/chair_one/stool_8.html
ドイツ生まれのデザイナー、コンスタンティン・グルチッチの作品。三角形をモジュールとした斬新な発想のスツール&スタッキングチェアである。屋外でも使用することができるなど、スツールならではの実用性も忘れていない。ブループリント賞(2003年)、コンパッソドーロ賞ノミネート(2004年)、オデルツォデザイン賞(2005年)、ドイツ・デザイン賞受賞(2006年)。
画像引用元:https://www.g-mark.org/award/describe/43809
メーカーとしては「立つでも座るでもないチョイがけのニーズに応えるスツール」を目指した。デザイナーとしては「強く主張しないが存在感のあるスツール」を目指した。双方の目標が融合し、機能的にしてデザイン性の高い当作品が誕生。身長に合わせ、3段階の高さから選ぶことができる。2016年、グッドデザイン賞を受賞。
画像引用元:https://www.g-mark.org/award/describe/37452
日本が世界に誇る伝統工法「組手」から着想を得た独創的なスツール。中央に向かった削り出しで実現した座り心地の良さ。座面に開いた穴による片手持ちのしやすさ。日本の伝統工法をベースにして、ひたすら機能性・実用性を追求し続ければ、必然的にこのような芸術作品へと昇華するのだろうか。2011年、グッドデザイン賞受賞。
画像引用元:https://www.idc-otsuka.jp/item/products/detail/578
日本が誇る世界的なインテリアデザイナー、剣持勇氏が手掛けたスツール。1958年に発表されて以来、2021年現在もなお市場に流通し続けるロングセラーである。日本で唯一の曲木専門工房「秋田木工」の熟練職人が、見事な足の曲線を実現している。2013年、グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞。
画像引用元:https://shopping.yamagiwa.co.jp/artek(%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF)%E3%80%8CKARUSELLI(%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%B3)%E3%80%8D%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%90%E5%8F%96%E5%AF%84%E5%93%81%E3%80%91/product/0/91428201700/
フィンランドの著名デザイナー、ウルヨ・クッカプロ氏が手掛けた作品。1965年の国際家具見本市で初めて発表され、以来、世界中の多くの識者たちの注目を集め続けてきた名作である。1966年、Lunning Prize (ルニング賞)を受賞。ニューヨーク近代美術館やヴィクトリア&アルバート博物館など、複数の著名美術館のコレクションにも選定されている。
画像引用元:https://www.suq-net.com/chairAndStool/1156.html
デンマークの工業デザイナー、クリスチャン・ヴェデル氏が手掛けたチャイルドチェア。氏は、ミラノ・トリエンナーレ金賞やルニング賞の受賞歴がある実力派のデザイナーである。当作品は、作品名の通り基本的には子供用の椅子。身長に合わせて座面を5段階に調節が可能で、座面は赤と青のリバーシブルである。高めに座面をセッティングすれば大人用のスツールにもなる仕様。